娘が5ヶ月を迎える前に、地域の保健センターで開催されている離乳食教室に参加してきましたので、学んだことをもとに離乳食の進め方をまとめてみました。
この記事の情報は、離乳食教室での管理栄養士さんのお話や配布資料を参考にしています。
離乳食の基本
離乳とは
母乳または育児用ミルク等の乳汁栄養から幼児食に移行する過程のことをいいます。
この間に乳児の摂食機能は、乳汁を吸うことから、食物を噛みつぶして飲み込むことへと発達し、摂取する食品は量や種類が多くなり、献立や調理の形態も変化していきます。
離乳食の目標と役割
目標
★食欲を育む
★規則的な食事のリズムで生活リズムを整える
★食べる楽しさを体験する
役割
★乳汁では不足するエネルギーや栄養素を補う
★「飲む栄養」から「食べる食事」への橋渡し
離乳の開始とは
なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時を言い、その時期は5〜6ヵ月ごろが適当です。発達の目安としては、首のすわりがしっかりしている、支えてやると座れる、食べ物に興味を示す、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる等があげられます。
進め方の注意点
①赤ちゃんが嫌がるときには無理強いはせず、楽しく美味しく食事ができるような環境づくり、雰囲気づくりを心がけましょう。
②赤ちゃんの腎臓は未熟です。負担がかからないように、離乳食の味付けは素材の味をいかした薄味にしましょう。
③手、食器、調理器具を衛生的にしましょう。
④はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使わないようにしましょう。
⑤離乳の進行に応じてベビーフードを適切に利用することができます。
⑥フォローアップミルクは、母乳または育児用ミルクの代替品ではありません。必要に応じて(離乳食が順調に進まず、鉄の不足のリスクが高い場合など)使用するのであれば、9ヵ月以降とします。
⑦アレルギー疾患の予防や治療を目的として、医師の指示を受けずに特定の食物を除去することは、子どもの成長・発達を損なうおそれがあります。必ず医師の指示を受けましょう。
離乳食のすすめ方のめやす
※月齢はあくまで目安です。赤ちゃんの個性に合わせてすすめましょう。
5〜6ヶ月ごろ
この時期は、離乳食を飲み込むこと、舌ざわりや味に慣れることが目的。
栄養摂取のバランス | 80% 母乳・ミルク / 20% 離乳食 |
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離乳食の回数 | 1日1回 授乳時間のどこかで与える。1ヵ月くらいしたら1日2回に。 |
離乳食後の母乳・ミルク | 欲しがるだけ与える。 |
食品の種類・組合せ | ・アレルギーの心配の少ない米がゆから始める。 ・慣れてきたら、じゃがいもや野菜、さらに慣れてきたら、豆腐や白身魚、卵黄など種類を増やす。 ・1日2回食に進む頃には、穀類、野菜・果物、たんぱく質性食品を組み合わせた食事とする。 |
食べ物の状態 | なめらかにすりつぶした状態。(ポタージュ状) 慣れてきた少し固めに。(ジャム状) |
調理方法(例) | 加熱が原則。 (フルーツ、トマト、チーズ・ヨーグルトは例外) |
1食分の味付け | 味はつけない。(だし、素材の味) |
口の動かし方 | 口を閉じて飲み込めるようになる。下は前後運動。 |
与え方のポイント | ・赤ちゃんの姿勢を少し後ろに傾ける。 ・くぼみの浅い細めのスプーンに離乳食を乗せ、赤ちゃんの下唇に軽く触れる。うまく口に入らずにたらりと出たら、その都度すくい取って口に入れてあげる。 |
だしの種類
●だし
天然(かつお、いりこ、こんぶ等)または、ベビーフード
●野菜スープ
コンソメの素はベビーフードを使用
●育児用ミルク
●味噌汁のうわずみ(油分に注意)
はじめの15日間のすすめ方例(1日1回食)
※1さじ=5cc(小さじ)
上記にプラスして、母乳または育児用ミルクを欲しがるだけ与えます。
7〜8ヶ月ごろ
この時期は、1日2回食で食事のリズムをつけていく。いろいろな味や舌ざわりを楽しめるように食品の種類を増やしていく。
栄養摂取のバランス | 60% 母乳・ミルク / 40% 離乳食 |
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離乳食の回数 | 1日2回 決めた時間はできるだけ守る。 |
離乳食後の母乳・ミルク | 欲しがるだけ与える。 |
食品の種類・組合せ | ・卵は固ゆでした卵黄から始める。料理で全卵を使うようになっても、完全に火を通すようにする。 ・白身魚以外に赤身魚も使える。 ・肉類は、脂肪の少ない「鶏のささみ」から始める。 ・プレーンヨーグルトやカッテージチーズは可。牛乳は、クリーム煮やパン粥など料理のみ。 |
食べ物の状態 | 3〜5㎜角ぐらいの大きさで、豆腐くらいの固さ。 |
調理方法(例) | やわらかく煮た野菜を、半分はつぶし、半分はみじん切りにして混ぜるなど組み合わせる。食べにくそうなものは、とろみをつけて、のどの通りをよくする。 |
1食分の味付け | 塩 :食塩なら0.1〜0.15g(ひとつまみ0.5g) 醤油なら小さじ1/6 砂 糖:小さじ2/3〜5/6(2〜2.5g) 油脂類:小さじ1/2〜5/8(2〜2.5g) |
口の動かし方 | 舌と上あごでつぶす。舌は上下運動。もぐもぐして飲み込む。 |
与え方のポイント | ・平らなスプーンを下唇にのせ、上唇が閉じるのを待つ。 ・赤ちゃんが「ごくん」と飲み込むのを確かめてから、一呼吸おいて次の離乳食を口に運ぶ。 |
9〜11ヶ月ごろ
この時期は、食事のリズムを大切に、1日3回食にすすめていく。家族で一緒に食べる楽しさを体験する。
栄養摂取のバランス | 40% 母乳・ミルク / 60% 離乳食 |
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離乳食の回数 | 1日3回 後半になったら徐々に大人の食事の時間帯に。 |
離乳食後の母乳・ミルク | 離乳食の量を増やし、離乳食後に母乳または育児用ミルクを与える。離乳食とは別に、母乳は欲しがるまま、育児用ミルクは1日2回程度与える。 |
食品の種類・組合せ | ・食物繊維が多い野菜や果物以外は使える。緑黄色野菜を忘れずに。 ・魚は青皮魚も可。 ・全卵が使えたらマヨネーズも可。 ・赤身の肉やレバーで鉄分不足を予防。 |
食べ物の状態 | 歯ぐきで押しつぶせる固さ。(バナナくらい) |
調理方法(例) | 初めは全てを固くせずに、固めとやわらかめのメニューを組み合わせる。切り方も少しずつ大きめに。植物油を少し使ったソテーなどもできるようになる。 |
1食分の味付け | 塩 :食塩なら0.16〜0.3g(ひとつまみ0.5g) 醤油なら小さじ1/3 砂 糖:小さじ1(3g) 油脂類:小さじ3/4(3g) |
口の動かし方 | 頰に食べ物を持っていき、歯ぐきでつぶす。カミカミして飲み込む。舌が左右に動かせる。 |
与え方のポイント | ・丸み(くぼみ)のあるスプーンを下唇の上にのせ、上唇が閉じるのを待つ。 ・やわらかめのものを前歯でかじりとらせる。 |
12〜18ヶ月ごろ
1日3回の食事のリズムを大切に、生活リズムを整える。自分で食べる楽しみを、手づかみ食べから始める。
栄養摂取のバランス | 20% 母乳・ミルク / 80% 離乳食 |
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離乳食の回数 | 1日3回 足りない分は1〜2回の間食で補う。 |
離乳食後の母乳・ミルク | 離乳の進行および完了の状況に応じて与える。 |
食品の種類・組合せ | ・油抜きした厚揚げやがんもどき、油揚げなども可。 ・飲用としての牛乳も可。 |
食べ物の状態 | 歯ぐきで噛みつぶせる固さ。 かじり取ったり、握ったりしやすいものも。 |
調理方法(例) | 揚げ物も食べられるようになるが、回数は控えめにする。大人の食べるものを薄味にしたり、やわらかくして食べられる。 |
1食分の味付け | 塩 :食塩なら0.4〜0.5g(ひとつまみ0.5g) 醤油なら小さじ2/3 砂 糖:小さじ1と1/3(4g) 油脂類:小さじ1(4g) |
口の動かし方 | 前歯でかじり取り、歯ぐきや奥歯で噛みつぶす。(ただし、最初の奥歯は噛む面積が少なく、すり潰しはうまくできない。) |
与え方のポイント | ・手づかみ食べのできる食事にする。 例:おにぎり、大きめに切った野菜 ・汚れてもよい環境づくりを。 ・子どもの食べるペースを大切にする。 |
1〜2歳児の食べにくい(処理しにくい)食品
1歳すぎに最初の奥歯(第一乳臼歯)が生え始め、1歳6ヵ月ごろには上下で噛み合うようになります。
しかし、最初の奥歯は噛む面積が少ないので、噛みつぶせてもすりつぶしはうまくできず、次のような食品は食べにくいため、注意が必要です。
弾力性の強いもの、固すぎるもの
かまぼこ、こんにゃく、かたまり肉、えび、いか、たこ など
→ やわらかく加熱する
皮が口に残るもの
豆、トマト など → 皮を取る
ペラペラしたもの
レタス、わかめ など → やわらかく加熱する
口のなかでまとまりにくいもの
ひき肉、ブロッコリー など → とろみをつける
唾液を吸うもの
ゆで卵、パン、さつまいも など → 水分を加える
誤嚥しやすいもの
餅、こんにゃくゼリーなど
においの強いもの
にら、しいたけ など
離乳食が完了したら幼児食へ
「離乳の完了」とは、形ある食物を噛みつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳または育児用ミルク以外の食物からとれるようになった状態を言います。
その時期は、12ヶ月から18ヶ月ごろが目安です。
(母乳または育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではありません。)
この時期は、体の大きさの割にはかなりのエネルギーや栄養素が必要です。
睡眠、食事、遊びといった活動にメリハリが出てくるころで、好き嫌いや食べ慣れないものも出てきます。
こんなときどうする?
粒状の離乳食を嫌がる場合
なめらかにすりつぶした状態(ペースト状)の食品は食べられるが、粒状の食品が混ざると嘔吐しそうになったり、吐き出したりすることがあります。
このような場合は、形態をペースト状に戻して飲み込む練習を重ねてから、再度試してみましょう。それでもうまくいかない場合は、ペースト状の食品と粒状の食品を混ぜずに、分けて与えてみます。
咀嚼力がついてくるのには、個人差があるので、子どもに合った形態ですすめていくようにしましょう。
味のアレンジをしたい場合
味のアクセントに、あると便利な食品
●きな粉
●ねりごま
●コーンクリーム缶
●トマトピューレー
●高野豆腐(すりおろしてお粥に混ぜても)
●麩(もみつぶしながらスープに混ぜても)
調理のポイント
離乳食の調理のポイントは、口腔機能の発達に合わせた「軟らかさ」「大きさ」にすることです。
茹でる
●水から:根菜類
小鍋に水と食材を一緒に入れ、ふたをして火にかけて沸騰したら火を弱め、完全に火を通します。
●湯から:青菜類、肉、魚、麺類
青菜は火の通りにくい根元から、ふたをしないで茹でる。魚など、茹でてそのまま与えるときは完全に火を通します。
つぶす
5〜6ヶ月くらいまではなめらかなペースト状になるように、茹でてつぶすのが基本です。
●すり鉢で
すりこぎをすり鉢に押し付けるようにします。離乳食用のすり鉢を使うと便利です。茹で方が足りないとつぶしにくいので注意します。
●フォークやマッシャーで
やわらかく茹でると、フォークの背で押すだけでつぶせます。量が多い時はマッシャーを使いましょう。
切る
太さ、細さだけでなく、長さにも注意して切ります。包丁の代わりにスライサーや調理ばさみを使うこともできます。野菜や肉は繊維の向きに垂直に切ると繊維が断ち切られ、軟らかい食感になります。
すりおろす
根菜、高野豆腐、麩などの乾物、冷凍したパンや鶏ささみなどは、すりおろすと簡単に細かくなり繊維も切れます。おろし器は匂いが移るので、離乳食用のものを用意するのがオススメです。
裏ごしする
繊維のある野菜は、すりつぶすよりもなめらかに仕上がります。時期に応じて水分を加えて仕上げましょう。野菜やいも類の他、ゆで卵の黄身、豆類、いちごやももなどに適しています。
のばす
つぶしただけではなめらかさに欠けるので、水分を加えてのばします。段階を追って水分量を減らしていきます。
とろみをつける
パサパサする食材はとろみをつけると食べやすくなります。とろみづけには、水溶き片栗粉、米、じゃがいも、ホワイトソース、すりおろしたパンなどを使用し、大人のものよりとろみはゆるめにしましょう。
フリーザーの使い方
少量では作りにくい料理は、まとめて作って冷凍しておくと便利です。お粥やだし汁、茹でてつぶしたじゃがいもなどは、1回分ずつの小分けにして密封して急速冷凍します。冷凍後は1週間程度で使い切るようにします。解凍したら1回で使い切り、再凍結はしないようにします。解凍後は十分に加熱して用います。
・小さく、うすい形が凍りやすい。
・空気にふれないように密封する。
・よく冷ましてから冷凍する。
※金属製のトレイやアルミカップに入れると、より早く冷凍できる。
食材別冷凍保存の手順
青菜野菜、鶏のささみ | ①よく洗う ②茹でる ③ラップでくるんで冷凍庫へ ④凍ったまま必要な分だけすりおろし、離乳食に使用する ※葉の部分のみ使う |
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裏ごし野菜 | ①やわらかく茹でて、裏ごしする ②冷凍保存袋に平らに入れ、お箸などで筋目をつけ、冷凍庫へ ③必要量を割って使用する |
お粥、だし汁 | ①お粥、だし汁を作る ②製氷皿で冷凍する ③冷凍袋で保存する |
あると便利な調理器具
裏ごし・茶こし
裏ごし器は食材をなめらかにすりつぶすのに便利な調理器具ですが、茶こしでも代用可能です。ステンレス製のものを選べば、清潔にお手入れができるので衛生面も安心です。
茶こしは、しらす干しやツナの塩抜き油抜きをする時に便利で、少量の裏ごしも可能です。
小鍋
離乳食は1食分が少ないので、鍋が大きいと焦げつきがち。酸に強いホーロー製がオススメ。完全に火を通すためにふた付きのものを用意すると便利です。
すり鉢兼用食器
おかゆや野菜をすりつぶすのに使い、そのまま子どもに食べさせる器にもなります。
調理ばさみ
麺類やパンなどを小さく食べやすい大きさに切るときに便利。外食時にも携帯できます。
いちごスプーン・フォーク
少量をつぶすのに便利です。
おろし器
5〜6ヶ月ごろの離乳食作りに。目が細かく、洗いやすいものだと便利です。
小さなまな板
細菌が増殖しやすいまた板は、離乳食専用のものを用意するのがベター。こまめに消毒しやすいように小さなサイズが扱いやすく便利です。
スティックブレンダー
離乳食を柔らかくすりつぶしたり、トロトロにしたりするのに便利です。たくさん作るときの時短にもなります。
離乳食を楽しもう!
これまで、母乳やミルクを飲むことしかしてこなかった赤ちゃんが、離乳食を食べる様子を見せてくれると、ますます成長を感じられそうですよね。
冷凍保存をしたり、市販のベビーフードなども活用しながら、それぞれの家庭や子どもの発達状況に合わせて離乳食を進めていけるといいですね!わが家も楽しみます♪
追記:娘が1歳過ぎたころに離乳食初期を振り返って便利グッズをまとめました。